2007年04月25日

詩の断片「春の終わりに」

夢から覚めたら、小鳥のさえずりが聞こえた
カーテンの隙間から太陽の光が漏れている
天井を見上げながら、少しずつ意識がはっきりしてくる
今日という1日のことを思った

狭い部屋の中で所在無い存在である自分
カーテンを全て開き、太陽の光を全身で浴びる
そうやって1日が始まる
どんな1日が始まるのだろうか

部屋の外で幸せが待っているかもしれない
部屋の外で悲しみが待っているかもしれない
達成感のある1日を過ごせることもあるかもしれない
なすすべなく、1日が終わってしまうかもしれない
自分に何かできるかもしれないし、何もできないかもしれない

春の桜は散ってしまい、その後には緑の葉っぱが顔を出していた
若葉は光の中でキラキラしていた
桜の花びらは、地面から緑の輝きを眺めていた
桜の花は散っても、桜の葉は輝いていた

1日が終わり、狭い部屋に戻ってくる
鏡に映る自分は元気なのか疲れているのか分からなかった
いろんなことがあり、いろんなことを知り、自分の姿がある
自分の姿を眺め、自分の存在する世界を眺める
時には目をそらしたくなる物事が顔を出す
それでも、心の中ではこんなことを思う
まだ、世界を好きだと言いたい
posted by のっち at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩・散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月17日

詩の断片「樹海の雨」

樹海に静かな雨が降る
彷徨うだけの魂をむなしく濡らす
大地をゆっくりと冷やしていく
さっきまで咲いていた小さな花は
いつの間にかしおれてしまった
わずかな光を力にして咲いた花
寒さの前にはあまりに無常
色鮮やかな花びらは色褪せる

樹海に静かな雨が降る
彷徨うだけの魂をむなしく濡らす
森の深い深い闇の中で
悲しみは消えるような気がした
雨は心を濡らし続ける
樹海に光は届かない
心が暖まることは無い

樹海の静かな雨
止む気配はまったくない
いつか抜けられると信じていたのに
止まない雨は絶望を導いた
でも心のどこかで分かっていたんだ
止まない雨だと言うことを
出口に辿りつけないことを

もう出口は分からない
入り口も分からない
どこにも行くことが許されないのなら
ここで眠ろう
静かに降る雨のように
何に期待をすることもなく
ここで静かに眠ろう
何も望まなければ、安らかに眠れる

樹海の雨は魂を惑わせる
今日もまた小さな灯が消えていく
posted by のっち at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩・散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月15日

散文の断片「赤信号」

世界のどこかで、旅人は旅をしていました。
肩には飛べない翼を持つ鳥が止まっていました。
この日は太陽が出ていて気温もほどよく、旅をするにはこれ以上に無いくらい、いい天気でした。

道を進むと、一人の人が赤信号の前で立ち尽くしているのを見つけました。

「こんにちは」
「こんにちは。これはこれは、旅のお方かな?」
「はい、そんなところです。それにしても、こんな所に信号があるとは思いませんでした」
「ははは。この地域は意外なところに信号があるのですよ」

信号の前でしばらく待ちます。
しかし、信号が変わる気配はありません。

「この信号、なかなか変わりませんね。いっそのこと、破ってしまっていいんじゃないですか」
「あなたは旅人ですから、この地域のことを分からないのかもしれません。信号を破るのは、人生を踏み外すのに等しいのですよ」
「なるほど。この地域では信号はそんなにも意味があるものなのですか」
「ええ。信号を守っていれば、人生を外れることはありません」
「それにしても、この信号は長いですね。いつまで赤信号なのでしょう」
「分かりません。実はあなたが来るずいぶん前から待っているのですが、なかなか信号は変わりません」
「もしかして、壊れているとか・・・」
「いえいえ、そんなことは絶対にありません。信号は完璧なのです」

日はいつのまにか傾き、夕暮れを迎えていました。
オレンジ色の空が、無常にも闇を引き連れて来ます。

「うーむ。もう日が暮れてしまいますね。私は別の道を探そうと思います」
「そうですか。恐らく遠回りになりますが・・・。まぁ、旅人さんらしい選択ですね」
「あなたは待ち続けるのですか?」
「はい。それが人生ってものです」

旅人は赤信号を横目にその人と別れました。
そして、肩に止まった鳥に言いました。
「もし、君に空を飛べる翼があったなら、信号なんて気にせず空を飛ぶのかな?」
鳥は旅人の顔を見て、首をひねりました。
「まっ、飛べたとしても自由とは限らないか」
太陽は完全に沈み、空には少しずつ星が顔を出しました。
「近道をして人生のゴールに辿りつくよりも、遠回りをして途中で死んだほうが人生だと思うのだけどね」
肩に止まった鳥はきょとんとしています。
「赤信号・・・。あの人にとってあの赤信号は何を示していたのだろう。耐えて待て、道を変えろ、休憩せよ・・・あるいは何の意味もないのかもしれない・・・」
旅人は星空を見ながら、そんな独り言をつぶやくのでした。
「人生か・・・。とりあえず、うちらは今日の宿を探そう」
鳥はうつらうつらと眠そうです。
旅人は宿を探して歩き続けました。
それはいつものように、星空のきれいな夜でした。
posted by のっち at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩・散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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