2006年08月22日

映画「蟻の兵隊」

蟻の兵隊.jpg

あらすじはホームページからの引用です。

今も体内に残る無数の砲弾の破片。それは“戦後も戦った日本兵”という苦い記憶を 奥村 和一 ( おくむら・ わいち ) (80)に突き付ける。
  かつて奥村が所属した部隊は、第2次世界大戦後も中国に残留し、中国の内戦を戦った。しかし、長い抑留生活を経て帰国した彼らを待っていたのは逃亡兵の扱いだった。世界の戦争史上類を見ないこの“売軍行為”を、日本政府は兵士たちが志願して勝手に戦争をつづけたと見なし黙殺したのだ。
 「自分たちは、なぜ残留させられたのか?」真実を明らかにするために中国に向かった奥村に、心の中に閉じ込めてきたもう一つの記憶がよみがえる。終戦間近の昭和20年、奥村は“初年兵教育”の名の下に罪のない中国人を刺殺するよう命じられていた。やがて奥村の執念が戦後60年を過ぎて驚くべき残留の真相と戦争の実態を暴いていく。


いくつか箇条書きに感想を書きました。

○中国人女性との対談
一番印象に残った場面。
戦争中、日本兵の被害を受けた中国人女性と対談する。
その中で「いまのあなたは悪人には見えません」と女性は奥村氏に言う。
こういうのが和解なんだなぁ、と感じた。
戦闘が終結して和平条約を結んでも、それは個人の和解にはつながらない。
奥村氏のような姿勢と、中国人女性のような姿勢があってはじめて成り立つものなのだなと思った。
しかし、両者がそのような姿勢になるまでには、どのような心理的な葛藤があったのだろうか?
ちょっと想像するだけで、ズキズキと痛むものがある。
戦争に生き残ったとしても、重いもの背負って生きていかなければならない。
そのような状態を作り出す戦争を正当化することは、僕にはできない。
リアリズムなハードパワー論では戦争・軍備は必要不可欠なのかもしれないけど、どうにかならないものか考えてしまう。

○唸り声
一番胸に焼き付いている場面。
ベットで寝たきりの上官の元に会いに行く。
「もう何も分からないので・・・」と上官の娘は言う。
だけど、奥村氏が言葉をかけると、なにかを伝えたいのかうめき声を上げる。
そのうめき声はすさまじいものだった。
生きる最後の力を振り絞っての声のように感じた。
やはり、真実が証明されないというのは悔しい思いがした。

○組織
組織の中で個人はどのように扱われるのでしょう?
一時期、ある宗教団体に所属していたうちの母は、その頃を思い出すとこんなことを言う。
「組織の中で個人の感情は排除される。個人に自由はない。自由だと思わせられる」
宗教組織と軍隊組織を同一視することに妥当性はないかもしれませんが、いくつかの共通点はあると思う。
軍隊組織の中でも個人はないがしろにされる面があると感じます。
そして、個人という感覚が麻痺したとき、上官の命令を素直に受け入れ人を殺してしまうのだと思った。

○権力者
残留を命令したと思われる男は、中国と密約を交わして、部下を置いてのうのうと日本に帰国したと映画では伝えている。
こういう権力者はごろごろいると感じた。
戦争というのは権力者(または国家)が個人をないがしろにする罪も持ち合わせているのだとあらためて感じた。
個人より大事なものがあると多くの人間が信じたとき、容易に戦争が起きてしまうのでは、と感じた。

○裁判
棄却理由などを詳しく知りたかった。
また、裁判・司法に関してあまり分からないので、簡単な下地程度のことは知っておきたいと思った。


それから、全体を通して感じたのは自分の勉強不足です。
知らないことが多すぎるので、感覚的な感想でストップしていた自分に気がつきました。
普通の映画を観るのなら感覚的でいいと思いますが、こういう映画を観るときは、感覚的なものと論理的なものの両方を備えて観れるようになりたいと思いました。

この映画ではドキュメンタリーという手法で戦争はよくないということをあらためて感じた。
だが、いつも思うことだが、戦争はよくないと感じているだけでは何も変わらないと思う。
戦争はいいか悪いかと問われて、多くの人間は悪いと答えるだろう。
でも、戦争はなくなってはいない。
戦争はよくないという認識は大切だけど、戦争をなくす、少なくとも減少させるためには何が必要かというふうに考えを発展しなければ、戦争はなくならないと思う。
posted by のっち at 08:50| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「蟻の兵隊」見に行ってん
Excerpt: {/kaeru_ang2/}こないだ映画見に行ってん。 {/hiyos/}ええなぁ。ずるいやんけ。なんでワシ誘てくれへんかったんや。 あ〜、わかったで、オンナと行ったやろ〜。オマエ嫁はんおるやんけ。..
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