2007年06月03日

詩の断片「古びた神社」

行くあても無く電車に乗る
窓の外をぼんやりと眺めている

自転車で走っている子供が見える
公園のベンチに座っている老人が見える
広場で遊んでいる親子が見える
空は太陽が輝いて、どこまでも青い

この電車はどこに向かうのだろう?
どこにも向かっていないのかもしれない
でも、どこかでは降りなければならない
降りる場所は自分で決めなければならない
それは当たり前のこと

とある駅で降りてみる
何があるのか分からない
何があるのか分からないから降りてみる
何かは自分で見つけるんだ

見知らぬ駅、見知らぬ町並み
ただ、感覚だけを頼りに歩いてみる
いろんな店があって、いろんな建物があって、いろんな人を通り過ぎていく
狭い道を入っていって、人の姿は見えなくなって、車の音も聞こえなくなる

薄暗い階段が目に入った
周りは木々に囲まれていて、太陽の光が届かない
そこを登っていくと、古びた神社があった
いったいどのくらい昔からあるのだろう?
どのくらいの人が、この神社を訪れたのだろう?
その人は喜びに満ちていたのだろうか、悲しみに暮れていたのだろうか?
ただ静かな空間で、昔から変わらない空気を感じた。

自分は目をつぶって、思い浮かべてみる
違う時代にこの神社を訪れた人、その人と同じ空間に自分は立つ
その中には、この世にもう存在していない人も多いだろう
でも、その人の訪れた神社はまだこの世界に存在している
自分の目の前に存在している
どこかで鳥が静かに鳴いていた

神社に背を向けて、階段を降りていく
その一歩一歩は確かなもの
この世界に自分が存在していること
それは確かなことなんだ

階段を降りきって、そこに道がいくつかある
どこの町かも分からないのに、どの道に何があるのか分からない
でも、自分の選んだ道を胸を張って歩く
その道で目に見えるものを、その道の喜びを、その道の悲しみを精一杯感じていく
そして、間違っていると気がついたときには、立ち止まり、引く勇気を持つ
それが生きていくことなんだと感じた
posted by のっち at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩・散文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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